公正証書遺言
作成場所は?
遺言者が公証役場に出向いて作成する場合、全国どこの公証役場でも作成することができます。
公正証書遺言書は、遺言者が公証人役場に出向いて作成するのが一般的です。
ただし、遺言者が入院中である場合等には、公証人が入院先等に出向いて作成することも可能です。
この場合には、その公証人が出向くことができる場所がその公証人の管轄法務局の区域内に限られます。
また、割増しの手数料と公証人の日当、交通費が必要となります。
作成方法は?
公正証書遺言を作成する場合には、証人2人以上の立会いが必要とされており、これを2人未満にすることは認められていません。
公証人は遺言者の遺言の口述を筆記し、これを証人に読み聞かせ、または閲覧させる必要があります。
公正証書遺言を作成する場合には、遺言者および証人は、筆記の正確なことを承認した後、各自が署名押印しなければなりません。
ただし、遺言者が病気や負傷などによって署名することができない場合には、公証人がその事由を付記して、署名に代えることができます。
なお、証人についてはこのような規定はないので、署名押印できることが必要です。
公正証書遺言は原本のほかに正本が作成され、その正本が遺言者に交付されます。
遺言者や証人が署名するのは原本のみであり、公証役場で保管されます。
証人
公正証書遺言書の作成に必要な証人は、遺言の内容を知る立場にある以上、遺言者や公証人と利害関係があってはなりません。
従って、
①未成年者
②遺言者の推定相続人および受遺者ならびにこれらの配偶者および直系血族
③公証人の配偶者、4親等内の親族、書記および使用人
以上は証人となることができません。
遺言執行者
遺言者は、必ずしも遺言で遺言執行者を指定する必要はありません。
また、遺言執行者は推定相続人以外の弁護士や司法書士が就くことも多いです。
遺言執行者になれないのは、未成年者や破産者です。
遺言による遺言執行者の指定がない場合において、遺言執行者を必要とする場合には、利害関係人の請求により、家庭裁判所が選任します。
公正証書遺言を撤回?
公正証書遺言を撤回するには、新たな遺言をして、前の遺言を撤回する必要がありますが、この撤回のための遺言は公正証書遺言に限定されていません。
2通の遺言があり、その内容に抵触する部分があった場合、その部分は後の遺言で前の遺言を撤回したものとみなされ、後の遺言の内容が有効となります。
公正証書遺言を撤回するための遺言は公正証書遺言に限定されていません。
作成費用
公正証書遺言書の作成費用は、公証人手数料令で定められています。
保管料?
公正証書遺言書の作成時には、その遺言の目的たる財産の価額に応じた証書作成手数料が生じますが、保管に関しては費用が発生しません。
従って、毎年保管料を支払うことはありません。